EmRes®の知識基盤
エムレス(EmRes)®の根底にある「体内感覚静寂化」
私たちの身体には、生まれながらにして備わる、自己感情解決のための生理学的な能力があります。
この能力についての理解から、Emotional Health Instituteは、好ましくない感情パターンや
長く続くトラウマを解決するためのプロトコールを考案しました。
体内感覚静寂化とは
体内感覚静寂化とは、身体的感覚をとおして、感情の根源にアクセスし、好ましくない感情的反応を永続的に調整することをいいます。このシンプルな調整能力は全ての人間に生まれながらにして備わっているにも関わらず、ほぼ認識されていませんでした。
ほとんどの人は、怒り、嫉妬、恐怖症、不安、恥、回避等の否定的な感情パターンにより、心身ともにストレスを受けていることを意識しながら人生を送っています。 自助努力を試みる人もいれば、専門家の助けを求める人もいます。また、自分で治療する人もいます。ストレスはその時々で軽くなるかもしれませんが、私たちに付きまとい、次のきっかけでまた嫌な感情が再び現れます。
私たちの体には、何もしなくても身体の反応に任せたままにすることで、ネガティブな感情パターンを永続的に解決するための仕組みが整っていることが神経科学者たちによって分かり始めています。つまり、私たちの身体には、生まれながらにして備わる、自己感情解決のための生理学的な能力があるのです。この体内感覚静寂化を基盤として、Emotional Health Instituteは好ましくない感情パターンや長く続くトラウマを解決するためのプロトコールを考案しました。
感情とは何か
感情の根源や調整についての理論は数多くあります。最近まで、その多くの理論全てを統一する概念の一つは、感情は、外的刺激に反応して脳の皮質下中枢の中で生み出されるという考え方でした。1880年代には、ウィリアム・ジェームズとカール・ランゲがすでに感情の理論を組み立てています。その理論の中で、外的刺激が一連の肉体的反応を引き起こし、その反応が、より高度な認知機能によって処理され、感情を生じるしくみがまとめられています。ジェームス・パぺス達、神経心理学者によるその後の研究で、この理論はさらに発展し、視床下部、視床前核、海馬、帯状回から成る「大脳辺縁系」が感情を生み出すのに係わっているとされ、そしてその感情が大脳皮質によって処理されて、行動や感情的症状を生じさせるとされました。
神経科学者/神経科医のアントニオ・ダマシオ博士による研究には、感覚反応が情動(感情)の核心にあるという考え方が取り入れられています。ダマシオ博士は「ソマティック・マーカー仮説」の中で、ソマティック・マーカーとは、外的刺激や外的環境に対する身体の感覚反応であると解説しています。このソマティック・マーカーこそが、情動(感情)を含んでいるとしています。 より最近の脳科学者リサ・フェルドマン・バレット博士による研究では、かつて考えられていたように大脳皮質下領域が感情の唯一の源ではなく、感情はむしろ脳全体によって組み立てられるということが解説されています。
“How Emotions Are Made”(邦題『情動はこうしてつくられる』)の中でバレット博士は、感情は、脳、身体、外的環境、過去の経験からの情報を含む複数の要因から発生し、何か一つの事柄によって直接的に引き起こされるものではないという考え方を示しています。
Emotional Health Institute の焦点である体内感覚静寂化は、困難な感情的反応とそれに関連する行動パターンを中和または統合するために、皮質下で生成されたマーカーを、より高度な認知機能に接続することで作用します。
内受容:感情解決のカギ
内受容は、現代では身体内部の状態の感覚と定義されています。これには意識と無意識の両方が含まれます。体内の臓器、組織、ホルモン信号、免疫反応と炎症反応および刺激によって引き起こされる、その他の体内のプロセスから生じる身体的感覚全ての総称です。 感情は、脳がこの内受容データを、私たち個別の性格、文化、経験のレンズを通して解釈したとおりに作り上げられます。内受容は、私たちの感情的な困難の根源への橋渡し、つまり「道路地図」になります。
感情的な困難を感じているときに内受容を認識すれば、そのような感情パターンを解決することができます。私たちが体内感覚静寂化と呼ぶこの精密なプロセスは、「感情解決」の基盤になります。体内感覚静寂化は、あなたを困難な感情の根源に接続して、好ましくない感情的反応を永続的に調整します。
身体的感覚はどこから来るのか
神経科学の最新の研究では、身体的感覚とは、過去のハイストレスな経験に基づいた脳の予測であるということが理解されています。フェルドマン・バレット博士は、感情がいかに作られるかについての理論の中で、「脳は、起きている間は常に過去の経験(概念として組み立てられている)を利用して、行動を導き、感覚に意味を与えている。関係している概念が感情の概念なら、脳は感情の実例を組み立てる。」と説明しています。
エムレス(EmRes®)は、脳が、もはや過去のものとなった内受容的な予測を、安全な状態で今の視点から意識的に観察することによって、その古びた予測を永続的に書き換えるように促します。
感情解決プロセスの由来
「感情解決」の核心にあるひらめきの源は、当然ながら多数存在します。心身の相関の研究の先駆者であるニナ・ブル博士(1880-1968)の研究から、より最近ではノースイースタン大学の著名な心理学教授、リサ・フェルドマン・バレット博士の研究(感情の研究に重点的に取り組む)、そして神経科学者のアントニオ・ダマシオ博士の出版物まで多岐にわたります。
他にも、筋肉ベースのボディーワークであるメジエール法、そして機能不全の感情パターンの解決のための感覚経路を、その研究“The Harmonization of the Sensitive Body”(敏感な体の調和)をとおして解説したジャン=ポール・レセギュアの研究からも影響を受けています。
アン・アンセリン・シュッツェンベルガーの“The Ancestor Syndrome”(先祖症候群)には、私たち自身のトラウマ、そしてまた先祖から私たちの魂に受け継いだ家族のトラウマの影響が、世代を超えて伝わり、避けられない場合もあることがうまく説明されており、その理論も、トラウマがどのように個人の感情の健康に影響するかを理解するために取り入れられています。
脳は、自己調節活動の能力があると昔から認識されています。この脳の能力は、ミルトン・エリクソンの“Hypnotherapy: An Exploratory Casebook”(邦題『ミルトン・エリクソンの催眠療法ケースブック』)の基盤となり、その著書の中でエリクソンは、創造的で解決法を生み出せる無意識の力が、顕在意識と並行して、また顕在意識から独立して働くことについて解説しています。
また、クロード・サバ博士とレイモンド・ハマー博士も挙げておきましょう。彼らの“Total Biology”(トータルバイオロジー)プログラムは、脳が魂と肉体の中心的制御装置であるという仮定に基づいて作られています。彼らは、脳が過度のストレスや大きな葛藤の状況下で、“病気プログラム”を“スイッチオン”し、その葛藤やストレスが取り除かれれば、脳がこのプログラムをスイッチオフすることができると確信していました。
以上の研究に加え、ルドウィック・ヤヌス、ベッセル・ヴァン・デア・コーク、スタニスラフ・グロフ、ガストン・ブロッソ―およびフランソワ・ルスタン(その他大勢)の見解が、今日の「感情解決」メソッドの足場の役割を果たしました。
Emotional Health Institute (E.H.I)は、私たちの感情の機能、とりわけ身体が好ましくない感情パターンをいかにして自然に解決できるかに魅了された専門家のグループによって設立されました。彼らは日々、調査、研究、実践をとおして、感情の健康のための研究をさらに発展させることに尽力しています。
E.H.Iは、世界中で感情の健康を増進するために、「感情解決メソッド・エムレス」の継続的な研究と改良に献身しています。